「オンライン研修は、講師やファシリテーターとして基本的なことをやるのが大事だね」と、今日も楽しそうにオンライン研修の実験を繰り返していた同僚の飯田さんが言ってました。
オンライン研修とオフライン研修で求められる講師スキルの違い
私が保有しているインストラクター資格「Comptia Certified Technical Trainer+」実は「Classroom Trainer」と「Virtual Classroom Trainer」の2種類の認定があります。
virtual(オンライン研修)通常のclassroom(オフライン研修)の違いは何かと言うと、オンライン研修用のツールを使いこなすか、ホワイトボードやプロジェクターなどの教室にあるツールを使いこなすかの違いです。
それ以外の講師としての振る舞いに求められるものは基本的に変わりません。なので、飯田さんのコメントはまさにその通りなのです。
オフラインは観察と介入がしやすい
しかし、おそらく多くの講師やファシリテーターの人たちは、いつもの教室で行う研修と同じようにオンライン研修をやると上手くいかなくて戸惑うことになるでしょう。
なぜならそれは、いつもの教室では講師やファシリテーターとしての基本的な振る舞いを省略しても研修が成立してしまいやすいからなのです。
例えばそれは、何かの演習ワークに入る前に受講者を迷わせるような曖昧な指示を出したとしても、いつもの教室であれば、その場にいる受講者の様子を観察して「何をすれば良いかわからない状態」に気づき、全体に指示を出し直すことも、個別の介入で解消することも容易にできます。
オフラインは観察と介入がしづらい
しかし、オンライン研修で例えばzoomのブレイクアウトセッションを使用すると、講師やファシリテーターとは別のvirtual空間に受講者たちが飛んでしまい、観察することができません。(各セッションを1つずつ覗くことはできますが俯瞰して見ることができない)
ツールの機能の問題なのか、講師やファシリのスキルの問題なのか
つまり、オンライン研修で曖昧な指示を出してしまうと、下手すると受講者たちは何をしたら良いのかわからないままワーク時間を終えることになります。
これはzoomのブレイクアウトセッションの機能の問題ではなく、講師やファシリテーターの指示の出し方の問題です。(受講者が指示内容を理解できたかどうかの確認をしていない問題でもあります)
同時に曖昧な指示しか用意していなかったデザイン(研修設計)の問題です。
ここに気づかずにオンライン研修をやって、上手くいかずに終わって、「やっぱオンラインはダメだよね」「zoomのブレイクアウトにこの機能があれば良いのにね」みたいな、講師やファシリテーターとしての自身の振る舞いについて省みない、講師やファシリテーターとして最もあってはならない状態を多発させて、あげくオンライン研修の普及や可能性を拡げるチャンスを潰すことになりそうで怖いです。
オンラインの特性やツールの機能を知ることも大事だけど
巷では、ここぞとばかりに「オンライン研修のやり方」「ツールの使いこなし」について扱うセミナーや記事が多く、企業の研修担当の皆さんも「ツールで何が出来るのか」「何をオンラインに切り替えるか」に関心が向いています。
オンラインの特性、ツールの機能を理解して、オンラインでできることを見定めて、オンラインでやる内容とやらない内容を決めるのは、もちろん大事なことです。
でも、それ以上に、講師やファシリテーターの人たちにとって、この状況、改めて講師やファシリテーターとしての基本的なスキルが問われていることに、いったいどれほどの講師やファシリテーターが気付いているのだろうか。
私も改めて基本を大事にやっていきます。
※Facebookに投稿したものをちょっと修正してます。
素敵な明日を