前回の続きです。
練馬区役所の若手職員と民間企業の人たちが一緒に取り組んだ研修「共創JAM SESSION」振り返りの第二弾です。
以下の3点について書いてみました。研修本題とは離れた内容ですが、今回参加して気づいたことです。
- 誰が情報発信するか、情報発信者に求められること
- 受講者になってわかること、事前学習と参加スタンスの大切さ
- ギャップはあるけどギャップはない、行政も民間も同じ
では早速。
- 誰が情報発信するか、情報発信者に求められること
今回、なぜこの研修に参加したのかと言うと、理由はすごくシンプルです。
「誘ってくれた人が面白い人だから」
この一言につきます。ちなみにこれ、直感ではないです。私なりの定義だと直感とは「なんの前提もなくその瞬間に決断すること」で、今回はそうではなく、明確に自分にとって良い影響をもたらしてくれる面白い人からの誘いだったから決断しました。あの人が言うなら間違いない!みたいなこと良く言いますよね。もちろんそれを鵜呑みし過ぎるのも良くないですが、人が行動を起こす時の動機って意外と単純だよなと思います。
同じ言葉でも芸能人や著名人が言ったり書いたりすると、大勢の人に届きやすいことももちろんですが、「あの人が言ってる」効果によって影響力が高くなりますね。
ってことを振り返りながらブツブツとひとり考えていたときに気づいたんですが、
「社内でアナウンスをしても反応が良くない」
みたいなことってありますよね。そうすると、やれ件名が良くないとか、本文がわかりにくいとか、もっと受け手に読んでもらえる工夫を!って書くスキルについて考えてしまいます。(まさに最近やってました・・・)
でも、その前に、
「メッセージの受け手にとって、送り手の私はどんな存在か?」
ここを考えるべきだったのかなと気づきました。人事や研修部門って、正直煙たがられがちじゃないかなと。アナウンスメールいっぱい飛ばすし、本業忙しいのにアンケートとか、出欠連絡とか、最近なんて事前学習でeラーニングやってこいとか、終わってからも事後フォローやるぞとか、もうウザいことこの上ないですよね。笑
いや、まあそれが人材育成担当の仕事なわけで、やらないわけにもいかないのですが、、、
「社員にとって自分たちがどんな存在か?」
これはしっかり問い直さないとイカンですね。研修の企画実施を通じて、社員にとって自分たちの存在を認識してもらう、そもそも普段の業務で率先垂範してる、
「この人(部署)は自分にメリットをくれる人だ」
「人材育成のやつら面白いことやるから要チェックや!」
って思ってもらえるくらいの関係になっておきたいですね。そのためには、研修の場面以外、もっと日常レベルでのやり取りだったり、社内SNSなどで、質の高い情報を数多く発信していくことだったりで関係を作ることが必要ですね。それと「ウザがられても嫌われそうになってもやり続ける」そういう覚悟ですね。
そしてこういう風に自分の基準で選んだ時は良い結果になることが多い。まあ自分から選んだことだから良い結果に繋がるようにアクションしてますね。
- 受講者になってわかること、事前学習と参加スタンスの大切さ
今回の気づきの中で、この点が1番大きな気づきだと思います。いろいろなセミナーに参加しても、純粋に受講者としてガッツリ研修に参加できることはほぼありません。常に企画主催者や講師目線でその場で起きていることを考えて見てしまうのです。ところが、今回はほぼ100%受講者になれました。久しぶりの感覚はとても貴重な機会でした。
わかったことはこちらです。
- 事前学習は大切
- 参加するスタンスを決めるのは大切
今回は事前学習課題があったわけではありませんが、練馬区のホームページに掲載されている、改革会議の公式資料に目を通しておきました。行きの電車で。笑
日頃知らない行政のこと地域のことがテーマなので、事前知識として練馬区の今をインプットしておいた方が良いだろうと思ったからです。
自治体にもよるのかもしれませんが、行政って本当にいろんなデータ持ってますね〜。そして公開されてる。あと、パッと思いつくようなことは、もう大抵検討されていて試行もされてることが多いなと思いました。いち市民として、こういうものに目を向けてみることは必要なことだなと。でもそういうことを考える機会がないし、たぶん時間と心の余裕もない。そもそも情報が公開されてることを知らない、ってのもありますね。
あ、社内研修の振り返り、公開できてないやつがあるぞ。。それ以外にももっとオープンにした方が良さそうなネタもあるぞ。。。社内の情報公開は取り組み弱いところです。つい後回しにしてしまいがちなので情報を公開する場所やタイミングを研修開催のサイクルの中に決めよう。
とその話はちょっと置いといて、話を戻します。
事前に資料を読んでおいたおかげで、練馬区の現状をある程度把握できていました。若手職員の皆さんの中間報告プレゼンを聞いたときに、話がスッと入ってくる感覚でした。その後、チームでディスカッションしたときにも練馬区の基本的なことを踏まえて話ができたので無駄がないなと。やはり事前学習は大切だなと感じました。
でも、事前学習ってなかなかやってもらえないですね。私も初めてかもしれない。笑
この辺り、研修内容と受講者の知識・スキルレベルがイコールだとおそらくやらないですね。受講者にとってちょっと難しいとか、日頃全然関係ないことを研修でやるとなれば、調べなければならない必然性が出てくるかなと。まあそもそも研修内容に合わせて適切な受講者(知識やスキルレベルがちょっと届いてない)をノミネートすることって難しいんですよね。研修のシラバスだけじゃわからないことが多いから。。
研修と受講者のマッチングとは別に、何かしらの方法で動機付けすることもあるかなと。でも単発の動機付けで考えるのは難しいなと感じてます。それこそ参加する動機は人それぞれなので、個別に対応しない限り無理だなと。であれば、「何かやるときには事前に調べよう」って言うフレームワークみたいなもの?として、みんなが言われなくても当たり前に行動するくらいにしたらどうなと。その方が難しいか。。
企画側はそもそも本当に事前学習って必要なの?ってことにも目を向けた方が良さそうですね。反転学習ブームに乗ってる感じもしてきているので。
もうひとつ、やっぱり参加するスタンスを決めることは大切だなと思いました。
今回は行政と民間のコラポレーションと言うことで、初めての研修スタイルでした。そこで、そもそもの研修目的、主催者が受講者に求めることや期待について質問しました。
事前の想像としては、行政職員の研修会に民間の人が招かれた状態で、期待されている役割は指導者(メンターとかオブザーバー的な役割)だと思っていました。
が、そんなこともないようで、企画者の方からはこんなコメントをもらいました。
「いち受講者として参加して欲しい。むしろ自ら主体となってやっちゃってオッケー!」
と言うことで「好き勝手やっていいですよ」と解釈しました。笑
しかし、研修が進む中で私の受けた印象はこんな感じでした。
- 企画ベンダー(民間を呼んだ人)
「行政も民間も全員研修受講者!」(みんな自由にやっていいんじゃない?)
- 研修講師
「民間の人に負けるなよ!」(民間の皆さんサポートよろしく!)
- 行政の企画部門
「民間の皆さんご協力お願いします!」(わざわざ職員研修に来ていただいて有難い!)
- 若手職員
「民間の人にどこまでやってもらっていいの?」(これってうちらの研修だよねぇ?)
- 民間の人
「どうしたらいいの?」(様子見ながらやるしかないか?)
- 区長
「若手職員には期待してる!」(民間の人が目に入ってない…※そのくらい若手をどうにかしたい思いが強い)
どれが良いとか悪いの話ではなく、みんなバラバラだったなと。そういう状況が見える度に、どうなんだろうなぁ?と考えてました。正直最後まで腑に落ちてこなかったです。
まあでもこういう混沌とした状況がやる気にさせてくれたというのもありました。たぶんイノベーションって混沌とした状況から生まれるんじゃないかなと。整理された状況、型にハマった状況からは、画期的なものは生まれにくいんじゃないかなと。今回は研修として臨んでいたので、この混沌とした状況に気持ち悪さの方を強く感じていました。
この研修に臨む姿勢に関するモヤっと感を抱えたままスタートしてわかったのは、「自分のアクションにブレーキがかかる感覚」でした。
「あれ?これって自分がやってもいいんだっけ?」
のように、何かアクションを起こそうとすると、脳内でブレーキがかかって、躊躇する感じです。
研修だけでなく仕事でも同じですが、
「あなたの役割はこれです、なのでこういう行動をしてください」
って言われたら、その範囲の中でアクションを選択できる、選択の基準ができるわけです。それがあることで「何をして良いかわからない」足踏み状態になってしまうことを防ぐことができます。
でも基準を作り、役割が明確になればなるほど、各自が自分の作業だけに集中してしまう弊害が起きる可能性が高いです。
「それは私に課せられたことではないので、私の仕事ではない」
役割分担や各々が責任を持って取り組むことは大切ですが、こんな発言が飛び出すチーム、私は嫌ですね。
そういう意味では、役割を明確にすることよりも、今回の研修に関わる人たちの中で「統一」できていたら良かったなと感じました。
「統一されていない=どうしたらいいの?」
「詳細ではない=何をしたらいいの?」
まあ、こういうことをきちんと用意して説明したところで、説明を聞かない人や、聞いてもその通りに理解してくれない人、理解してもやらない人、そんな人も多いですけどね。笑
そこで、今回私が思ったのは、企画側が研修の目的・目標や期待役割を提示することは大切ですが、それ以上に、
「自分のスタンスを自分で決めること」
これが一番大切だなと感じました。周りがどうであれ、その場に自分がどう関わるかを自分で決めれば、自分の行動から迷いは消えることになります。
「周りは周り、自分は自分」
ここで大事だなと思うのは、自分の独りよがりや自己中心的な態度になったり、周囲を無視するのではなく、周囲とコミュニケーションをしっかりとっておくことです。
「自分の取り組み方を理解してもらう」
「相手の取り組み方を理解する」
スタンスを決めるだけでなく、ここまで出来れば、それぞれが気持ちよく仕事に取り組める、かつ、チームワークが良くなるんじゃないかなと。
実際の職場では曖昧な領域の仕事ってたくさんあります。そういうものに対して、「どんな捉え方をするのか」を見ていると、その人の本質が見えてくるなと思います。
- ギャップはあるけどギャップはない、行政も民間も同じ
同じチームになった練馬区の若手職員3人と話していて、練馬区の人材育成担当の方々と話していて、いろいろ違いはあるけど、同じだなと感じました。
行政・民間それぞれの成り立ち、バックグラウンド、文化は違いますが、
「組織として見ると起きていることは同じ」
だなと感じました。彼らと話していて、「それ民間でも同じだよ」と何回も言いました。例えば、「上司に相談しても取り合ってもらえない」とか、「古い慣習に従って盲目的に仕事してる」とか、民間でも同じようにあるわけです。
これは「自分の見ている世界が全て」になってしまうと起きやすいので、今回の研修のような他流試合は気づくきっかけになりますね。
それと「自分のいるところはこうなんだ」と言う固定観念に囚われてしまっている状態なので、彼らにとっては「行政と民間」と言う比較で見るだけだと「やっぱり民間は違うなあ、行政はダメだなあ」となりがちです。特に相手の良いところばかり見て自分の悪いところばかり見てしまう。
「自己肯定感の低い最近の若者たちには、隣の芝が青く見えてしまいがち」
なので、「同じ行政の組織だけど、すごくクリエイティブに仕事してる」とか、「同じ練馬区の職員だけど、古い慣習を打ち破ろうと取り組んでる」そんな人たちとの接触機会があると、
「今の職場でもチャレンジできる」
と感じてもらえるんじゃないかなと。探せばいるんですよね、同じ組織の中にもそういう人って。
「仲間を見つける、仲間を作るスキル」
これから大事なスキルになると思うな。
「ギャップがあるけどギャップはない」この気づきを得たことで、先日書いた、
「日本の新人も海外の新人も違いはあるけど同じ」
「日本企業も海外企業も違いはあるけど同じ」
について、またひとつ確信を持つことができました。
- 人が組織に適応していくときに必要なこと
- スキルアップしていくときに必要なこと
- 組織を作るときに必要なこと
- 組織で成果を上げるときに必要なこと
こうやって考えると、行政も民間も、日本も海外も、違いはあっても根本的(本質的)なところは同じなんですよね。まあだからこそドラッカーとか世界中で読まれてるんだよな。
みんなでこの感覚になれたらダイバーシティなんて楽勝じゃん?って思うのは私だけでしょうか。
今日はこの辺で、また明日。