今日は2017年最後のリフレクションナイト「みんなの作戦タイム」定期開催でした。終了後に「無駄なワークが無かった」と2時間30分のプログラムデザインについてフィードバックをいただきました。最近はファシリテーションについて褒められることよりも、デザインについて褒められることが嬉しいです。今日は研修やワークショップなどにおけるデザインとファシリテーションについて書いてみます。長いので目次をつけておきます。
- デザインとファシリテーション
- 研修やワークショップのデザインとは
- 当日の投影資料(スライド)作りはデザインが終わってから
- 研修やワークショップのファシリテーションとは
- 「良かった・悪かった」はデザインによるのかファシリテーションによるのか
- 誰がファシリテーションしても一定水準以上の成果が出る=デザインがイケテル
デザインとファシリテーション
まず今回の記事で多用する2つの言葉について私なりに定義します。
デザイン:研修やワークショップを設計すること
ファシリテーション:研修やワークショップ当日に講師や進行役が発揮する集団学習の場において学習を促進するための行い
研修やワークショップのデザインとは
デザインと聞くとわかりづらいかもしれませんが、日本語に置き換えると「設計」です。インストラクショナルデザインで有名なADDIEモデルの1つ目のD(Design)にあたる部分です。
A:Analytics
D:Design
D:Development
I:Implement
E:Evaluate
何か研修やワークショップをやろうと思った時にどんなことを設計するかというと、ざっくりこんなところが設計項目です。
- 目的(全体)
- 目標(全体)
- 目標達成に必要な要素(講義・ワーク・その他)の洗い出し
- 講義部分の目標・内容・伝え方・時間・必要なリソース(単元ごとに)
- ワーク部分の目標・内容・伝え方・時間・必要なリソース(単元ごとに)
- その他部分の目標・内容・伝え方・時間・必要なリソース(単元ごとに)※その他の例:事前学習、チェックイン、アイスブレイク、自己紹介、研修についての説明、休憩、リフレクション、チェックアウト、クロージング、事後学習など
- 目標達成に向けた全体の流れ(必要な要素の組み合わせ)
- 目標達成の測定方法(アンケート、理解度テストなど)
さらに上記のような当日のプログラムを考える前に参加する、扱う内容と受講者の関係について以下のようなことを考えます。ADDIEモデルのA(Analytics)にあたる部分です。
- 扱う内容についての受講者の知識・経験・スキル
- 受講者本人の期待・ニーズ
- 受講者の上司の期待・ニーズ(社内研修の場合)
- 受講者にとってのSFB(situation,fanction,benefit)
※SFB:普段の仕事や生活のどんな場面や状況で、研修やワークショップの内容や受講者本人が気づいたことをどんな風に活かせるのか、活かすとどんな良いことがあるのか、SFBを整理します。
当日の投影資料(スライド)作りはデザインが終わってから
私はデザインの時は最初に手書きでラフを書いてから、エクセル(テンプレートを作ってある)に落とし込みます。デザインが完成したら、デザインを元に当日の資料(パワーポイントなどで作られる投影資料や配布する資料)を作り始めます。ADDIEモデルの2つ目のD(Development)にあたる部分です。デザインがしっかり出来ていると資料作成がスムーズに進みます。
研修やワークショップだけでなく、プレゼンテーションの準備などでも、いきなりパワーポイントで資料を作り始める人も多いのではないかと思います。以前の私はそうでした。パワーポイントを作り始めると細かいところを気にしてしまい、良い資料・カッコイイ資料を作ることが目的化しやすく、その研修・ワークショップ・プレゼンテーションの目的や目指すべき目標を見失いがちになるため注意が必要です。
研修やワークショップのファシリテーションとは
先ほどファシリテーションとは「研修やワークショップ当日に講師や進行役が発揮する集団学習の場において学習を促進するための行い」と書きました。これはADDIEモデルのI(Implement)にあたる部分です。
研修やワークショップを実施する場面で最も大切なことは「受講者が研修やワークショップの目的・目標に到達できること」にあると考えています。(受講者中心主義)これを実現するためにファシリテーターや講師は受講者に働きかけて、受講者(会場全体)の学習が促進していく場を作り上げていきます。
ファシリテーションスキルの高い人と低い人の違いを考えてみるとわかりやすいかもしれません。
ファシリテーションスキルの高い人/低い人
- 緊張感を下げるのが早い/遅い
- 場の盛り上がりが早い/遅い
- 参加者を引きつけるのが早い/遅い
- 参加者の集中状態を作るのが早い/遅い
- 参加者と焦点(ゴールに向かう目線)を合わせるのが早い/遅い
同一の研修やワークショップを別の人がファシリテーターや講師として担当する場面に出くわすことがほとんどないためわかりづらいかもしれませんが、実際に同じプログラムを別の人がやると、こんなところに気づきやすいです。
「良かった・悪かった」はデザインによるのかファシリテーションによるのか
冒頭にデザインを褒められて嬉しかったと書きましたが、フィードバックをいただけるのなら、もうどんなフィードバックでもそれだけでとても嬉しいです。
- 些細なものでも
- どの角度・視点からでも
- ポジティブでも
- ネガテイブでも
今回デザインについてのフィードバックをもらえたのが、なぜ嬉しかったかと言うと、研修やワークショップのフィードバックは漠然としたものが多いからです。
- 面白かった/面白くなかった
- 楽しかった/楽しくなかった
- 気づきがあった/気づきがなかった
例えばこんな感想をいただくときに、具体的にどこが良かったからその面白さや楽しさが生まれたのかについてまで言及されることはなかなかありません。私はぜひ濃いめ(デザインにも踏み込んでくる)かつ、スパイシーなフィードバックをいただきたいと思っております。皆様よろしくお願いいたします。m(__)m
※誤解を招きそうなので補足しておきますが、ライトな感想は感想で、もらえると超嬉しいです!
なぜ濃いめのフィードバックが欲しいかと言うと、デザインが良かったのか/ダメだったのか、ファシリテーションが良かったのか/ダメだったのか、両方が良かったのか/ダメだったのか、確認することができるからです。これをフィードバック無しに主観だけで判断するのは非常に難しいなと感じています。求むフィードバッカー!w
誰がファシリテーションしても一定水準以上の成果が出る=デザインがイケテル
私が目指したいのは、ファシリテーターとしての唯一無二性ではなく、ファシリテーターのスキルによって成果が左右されにくいデザインができるようになりたいなと思っています。
最近はレゴブロックやカード、ゲームなどを用いることで、楽しみやすく、やりやすい、実施者にも参加者にも良い流れが出てきているように思います。一方で何でもかんでも「ファシリテーター頼み」になってしまったり、「場に委ねる」「モヤモヤを大事にする」の一言で全てを片付けようとしている傾向もあるなと思っています。場に委ねるのもモヤモヤも、デザインあってのものだと私は思っています。
こんな長文誰が読むんだろう。w 読んでくれた方、どうもありがとうございました。
素敵な明日を