私の推しコンテンツ「ネーミングけんきゅーラジオ」の「ちゃこ先生」が、Xにこんなポストをされていたので、けんきゅー員001号として、私なりの見解を書いてみる。
ファミマのプリンスイーツ、「・」があったりなかったり、「プリン」が先にきたり後にきたり揃ってないのが気になるのは私がビョーキだからです。 pic.twitter.com/7mCr2b3osx
— ネーミングけんきゅーラジオ (@nemikenradio) 2024年3月28日
今回の対象商品はこちら。
- スフレ・プリン
- プリンサンド
- プリンタルト
- 窯出しとろけるプリン
1「スフレ・プリン」
「・」が真ん中に入っている理由、これはおそらく「スフレ」と「プリン」が混ざっていないことを意味しているのではないかと思われる。
写真を見る限りではあるが、「スフレ」と「プリン」を上下に重ねている形状のように見えるので、上の方だけ食べればスフレだけ食べられるし、スフレを食べ終えたあとに下の方に残ったプリンだけを食べることもできそうだ。
もちろん、食す人がスフレとプリンを一気に上から下まで掬い取って食べることで、口の中でマリアージュを楽しむこともできるが、あくまでスイーツとしてはスフレとプリンを混ぜていないということを意味する「・」なのではないだろうか。
そして「スフレ・プリン」と、プリンが後に来ている点だが、今回のキャンペーンが「プリン」関連商品のキャンペーンのため、「プリン」を後ろに配置することでプリンを強調したのではないかと思われる。「プリン・スフレ」だと後ろにきているスフレの方が強調されて聞こえる。商品の形状的にもプリンが下にあり土台を形成していることからプリンが後にきているのではないか。
名前の前後どちらを主体とするかについては「カレーライス」「ライスカレー」論争に発展しそうだが、ここでは止めておくことにする。
2「プリンサンド」
このプリンサンドに「・」が入っていない理由は、プリンをスポンジで挟むことで1つの形成されたスイーツになっているからだと思われる。「スフレ・プリン」の逆のパターン。
これに関しては類似の商品名からも「・」を使わないという事例を多数見つけることができる。「たまごサンド」「ハムサンド」「カツサンド」これらの商品名に「・」を使っているケースを見ることはほとんどない。サンドイッチはパンの間に具材を挟むことで1つのサンドイッチという料理が形成されるため、「・」を間に使ってしまうと、サンドイッチとしての一体感を感じられなくなってしまうように思う。
プリンが主体なのに「プリンサンド」と前にプリンが来ている理由は、上記のとおりサンドイッチの商品名は「具材+サンド」が通例となっており、その通例に則ったのではないかと考えられる。また「サンドプリン」だと「砂漠のプリン?」のような誤解を与える可能性があるのではないかと思われる。鳥山明さんの「サンドランド」の映画を想起させること・・・ないか。
ここでお気づきかもしれないが、この「プリンサンド」プリンではなく「サンドイッチの亜種」であることがわかる。プリン関連商品のキャンペーンなのに良いのか?と思ったが、キャンペーンの名前をよく見てほしい。「最高プリン登場!」ではなく「最高!プリンスイーツ登場!」なのだ。「プリンスイーツ=プリンを使ったスイーツ」と解釈するならば、サンドイッチの亜種である「プリンサンド」がこのキャンペーンの商品にラインナップされていることに違和感がなくなる。実はキャンペーンの名前もよく考えられているのである。
ちなみに「サンドイッチ」「サンドウィッチ」論争には発展しないでほしいし、伯爵が考えたからこの名前なんでしょ?というジャポニカ学習帳トリビアをひけらかすのも止めておいてほしい。
3「プリンタルト」
プリンタルトについてはプリンサンドと同じ理由で説明ができるのではないか。
「・」が入っていない理由は、プリンをタルトの具材として使用することで1つの形成されたスイーツになっているし、タルトの類似商品名も「いちごタルト」「フルーツタルト「モンブランタルト」など「・」を使うケースを見ることはほとんどなく、「具材+タルト」が通例となっているため、プリンが後ろではなく前に来ているものと思われる。
「タルトタタン」はタルトが前じゃないか!と突っ込まれそうだなと思ったので調べてみたところ、タルトタタンは通常のタルトとは逆の順序で作るため「タルトタタン」と呼ばれているそうだ。こういうことを発見できるからネーミングは楽しいし止められないのである。
商品写真を見ると、商品の見栄え、見た目のインパクトを強くするために、プリンをドーム型にしたのだと思われるが「ドームプリンタルト」のように名前に「ドーム」を入れなかったのは、見ればドーム型というのは伝わるから省略したのだろうか。プリンサンドも「ふわふわスポンジプリンサンド」のような名前にしなかったのは、同じような理由だろうか。
見た目のインパクトが強い場合は、名前をシンプルにするという法則は商品のネーミングのセオリーとしてあるのかもしれない。
4「窯出しとろけるプリン」
最後の「窯出しとろけるプリン」この商品だけ、ただのプリンなのだ。「窯出しとろける」はプリンの修飾語なので、間に「・」が入る必要はなく、後ろにプリンが来ることになんらの違和感もない。だってただのプリンなんだから。そう思うと、「プリンスイーツ」じゃなくて「プリン」じゃねーか!とツッコミが来てしまうのではないかと、少々心配になってしまう。ラインナップの中で唯一のちゃんとしたプリンなのに。そしてこれは筆者の予想だが、きっとこの商品がシンプルに美味しいやつなのに。
他の3商品と比べて見た目にインパクトが無い分、商品名でインパクトを出そうとして「窯出し」と「とろける」の2語をプリンの前に使ったのだと思われるが、商品名が長くなってしまい、他の3商品と比べると圧倒的に呼びづらい名前になってしまっていることが気になる。商品写真にはオノマトペの「とろん」を使用しているので、シンプルに「とろりんプリン」くらいでも良かったのではないだろうか。窯出しというのはそこまで重要なのだろうか。コンビニの商品は「窯から出してすぐ」なわけないことは誰にも明らかなのに。
ちなみに「とろりんプリン」をGoogleで検索してみると、いくつかのお店の商品名として使用されていることがわかる。この辺りは当然ネーミングにおいて先行商品との被りを気にしているのかもしれない。特許情報プラットフォームで商標登録されているか調べてみたが商標は未登録だった。
4つの商品に使用されているオノマトペ
今回のキャンペーン広告を見ると、4つの商品それぞれにオノマトペがついている。窯出しとろけるプリンは前述のとおり「とろん」である。他の3つも見ておこう。
- しゅわ:スフレ・プリン
- ふわっ:プリンサンド
- ほろっ:プリンタルト
- とろん:窯出しとろけるプリン
「しゅわ」はスフレの口溶けを表していると思われる。美味しいスフレは本当にしゅわっと口の中で消えてなくなるような食感なので、納得のオノマトペだ。
「ふわっ」はサンドに使われているふわふわのスポンジの食感はもちろん、ホイップクリームのやさしい感じも表しているのでは無いだろうか。こちらも納得のオノマトペだ。
「ほろっ」これはタルト生地のほろほろした食感を表しているのだろうか。タルト生地はしっとりしているがボロボロと崩れてこぼれやすいので、納得のオノマトペだ。
と、3つのオノマトペに納得してしまったのだが、ちょっと待ってほしい。これらの3つのオノマトペは全て「プリン以外」の部分を表しているではないか。プリン関連商品のキャンペーンなのに、果たしてこれで良いのだろうか?ちょっと納得がいかなくなってきた。
しかし、ここで効いてくるのはキャンペーンの名前だろう。今回のキャンペーンはあくまでも「プリンスイーツ」プリンを使ったスイーツのキャンペーンなわけだから、必ずしも主体がプリン以外でも、プリンが使われていればOKということなのだろう。
さて、4つの中から何を選んで食べてみようか。
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